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ケモナーのための西遊記妖怪概説

四海竜王:
東南西北の海をつかさどる竜王たち。それぞれ青(ブルーではなくグリーンに近い方)、赤、白、黒の色を持つ。西遊記では東の青龍を長兄としている。これに黄龍を加えて五大竜王とすることもある。雨ふらしを担当している中間管理職。話の始めでは悟空に武器や防具をたかりとられている残念な役柄だが、悟空が三蔵法師についてからは、雨が必要な場面で呼び出されて色々協力している。とくに西方に向かう話なので、西海竜王の縁者がしばしば登場する。ストーリーには出てこないが、彼らのほかに洞庭湖の竜王、銭塘江の竜王などがいる。龍同士が縄張り争いをして、相手を食い殺したりもしょっちゅうあるらしい。結構野蛮。

玉龍:
西海竜王の第三太子。火事を起こして父秘蔵の宝玉を焼き、訴えられて死刑になるところを観音に助けられた。空腹で三蔵の馬を食い殺してしまい、その代わりに馬となる。ちなみに封神演義にも竜王の第三太子が登場するが、多分別人。初期は火龍太子とも呼ばれていたようだ。玉の名を持つことから、美しい白龍であると思われる。猿と馬つながりで、悟空には割と大事にされている。

寅将軍・熊山君・特処士:
それぞれ虎、熊、牛の妖怪。悟空と出会う前の三蔵のお供たちを食ってしまう。三蔵自身は太白金星に助けられる。この三匹のそのあとは不明。

黒大王:
本性は大きな黒熊。三蔵の持っていた金襴の袈裟に目がくらみ、どさくさにまぎれて火事場泥棒を働く。こらしめられて後に観世音の庭番となる。

黄風大王:
霊山のふもとで得度した茶色の貂鼠。得度した結果がこれだよ!鼠とする訳もあるが貂(テン)が正しい。でも手下に虎がいる。三昧神風という技を使い砂交じりの黄風を吹かせて悟空の目をつぶした。霊吉菩薩に霊山へ連れ戻される。

黄袍君または黄袍怪・のちに奎木狼:
本性は狼。しかも二十八宿のうちの西方白虎七宿に属する一宿、「とかきぼし」。星神様のはしくれだけあって鶏卵ほどの大きさの丹を体内に練っている。
恋人が地上の宝象国の王女に転生してしまったのを追って、神の役目を捨てて妖怪になり、王女を誘拐して妻にしたという情熱的なエピソードの持ち主。王女にも憎からず思われていたあたり、イケメンなのかもしれない。結局この恋は全うできず、正体がばれて天界に連れ戻され、太上老君の炉の番に落とされた(金角銀角が役目を放棄して逃げたためだと思われる)。しかしこの後ちゃんと復位したらしく、慈雲寺のエピソードでは同僚である四木禽星と共に登場する(悟空との会話は特に無かったが)。黄眉大王戦の時点でいるかどうかは不明。敵キャラが味方になって助けに来るとか胸が熱くなるな。
子ども向け西遊記にあまり出てこない理由は、黄袍怪と王女の間の子どもを悟空が空からたたき落として殺したというえげつないエピソードが入ってるからだと思う。

金角・銀角:
西遊記の中で一番有名な敵役。返事をすると吸い込まれてしまう瓢箪と浄瓶を持っている。
正体は太上老君の八卦炉の番をする童子。だがその母と伯父狐阿七大王は狐であり、前述のとおり天界も獣だらけなあたり、彼らの本性もまた狐精であると思われる。ちなみに悟空が八卦炉に入れられた時も地味にいる。

烏鶏国の偽国王:
正体は文殊菩薩の乗騎である青毛の去勢獅子。如来の怒りに触れた烏鶏国王を罰するために遣わされていた。去勢されていたので王妃にいたずらすることができなかった。文殊菩薩に連れ戻されたが、その後また逃げ出したらしく、獅駝嶺の一大王として再登場。文殊仕事しろ。

鼉潔(だけつ)・または黒水河神:
西海竜王の妹の子にあたるらしい。父は取経の旅の遠因となった徑河の竜王。正体はスッポンとされることもあるが、出自を考えると彼もまた本性は竜であろう。一説には鰐。そういえばワニはひげがない竜かもしれない。白いワニが来る。三蔵を捕まえて伯父である西海竜王にご馳走しようと呼ぶが、悟空にはいろいろと縁がある竜王は驚愕し、皇太子摩昂を遣わす。従兄にド叱られて逆切れするが、結局とっつかまって海の中で禁固中。

摩昂太子:
西海竜王の皇太子。つまり、玉龍の実兄。鼉潔捕縛、青竜山の三大王退治に参加。苦労性の長男。ろくな所業をしなかったりやろくな目に会っていない竜王の息子たちの中ではましなほう。

虎力大仙、羊力大仙、鹿力大仙:
それぞれ虎、羚羊、白鹿の精。前から思ってたけど西遊記で虎ってあまり大妖怪としては出てこないよね。車遅国の国王を籠絡して、僧侶を迫害。術比べで悟空に負けて一匹ずつ殺された。ちなみに羊は山羊などとよくごっちゃにされる。虎にあとの二匹食われるじゃん、と思ったがある程度妖力をつけた動物たちは出自は関係なくなるらしい。隙を見せれば食われるかもだが。

霊感大王:
正体は観音様の池にいた金魚。通天河の主。水タイプだけど氷タイプの技も使える、そんなやつ。この時の観音の姿が魚籃観音になったとかならないとか。

独角兕大王:
正体は太上老君の乗騎であった青牛。牛なのに独角とはこれいかに。老君が昔悟空にぶつけて弱らせた金剛琢を盗み出して逃げた。天界から逃げる獣多すぎだろ。

琵琶精:
正体はサソリ。かつて如来の手を刺したこともある。手のハサミを象徴するさすまた、毒のある尾を象徴する毒杭を武器に使う。

昴日星君:
二十八宿のうち、西方白虎七宿に属する「すばるぼし」。前述の奎木狼の同僚、昴日鶏。本性は二つとさかの雄鶏。何故かいろいろ優遇されている。琵琶精退治に参加。黄眉大王戦も参加したと思われる。母親は毘藍婆菩薩であり、この人も本性は雌鶏と思われる。

玉面公主:
牛魔王の愛妾で、正体は玉面狸(白面の狐狸精?)。玉面狸から白い狸と思われることもあるが、多分狐とか山猫とかの肉食の動物。ちなみに日本の狸は中国では「狢」と書く。

牛魔王:
正体は山ほどの大きさの白牛。五百年前悟空とは義兄弟の契りを結んだ仲であり、しかも長兄にあたる。彼との戦いは西遊記のハイライトのひとつ。元仙女である鉄扇公主を嫁にしているあたり、ただの牛ではない。一説にはシヴァ神(自在天)との関連があるのではないかと言われる。息子の紅孩児も後に観音に仕えるし。

万聖竜王:
水のあるところには龍がいて、大きな龍もいれば小物の龍もいる。そんな大小様々の野良龍のうちの一体と思われる。乱石山碧波潭に棲む龍。しかしその行状芳しからず、金光寺の舎利を盗み出させて祭賽国を苦しめていたが、悟空に頭をかち割られて死亡。

九頭駙馬:
万聖竜王の娘婿。頭が九つある婿殿、という意味。金光寺の舎利を盗み出した。正体は九頭虫あるいは九頭鳥と呼ばれる怪物。虫はこの場合「~類」とか「~種」というくらいの意味。九つの頭を持っているのでどの方向から打ち掛かっても受け止められてしまう。二郎真君の犬に首を食いちぎられ、手負いのまま北へ逃げ去る。
九頭鳥というのは古くからいた妖怪のひとつで鬼車ともいい、生者や死者の霊魂を喰う(死んでも魂が残れば生まれ変われるが、喰われてしまうと消滅してしまう)。頭のうちのひとつ(もともと十頭だったという説もある)を犬に食いちぎられて以来犬が苦手で、血を流しながら飛び回り続けているという。

黄眉老仏・または黄眉大王:
正体は弥勒菩薩の弟子、黄眉童子。動物かどうかは不明。小雷音寺を造って如来に化け、騙された三蔵たちを捕まえた。悟空を伸び縮みするにょうはち(シンバル)に閉じ込めて動きを封じたが、悟空は天将たちを呼び寄せて逃げ出す。なんでも吸い込んでしまう後天袋で、二十八星宿を始めとする天の軍勢、五大竜王、その他いろいろを吸い込んでしまった。袋とにょうはちと狼牙棒はもともと弥勒菩薩(ここでは布袋の姿)の宝で、西遊記中最強の宝貝。師匠の弥勒菩薩にコテンパンにされ、袋に閉じ込められてお持ち帰りされる。

亢金龍:
東方青龍七宿の一宿「あみぼし」。黄眉大王戦でシンバルに閉じ込められた悟空を助けた。まあそれだけ。

賽太歳:
正体は金毛犼(狼に似たイヌ科の生き物。ドールとも。ただし中国ではお獅子に似た生物として表現される)。観音が道教に取り入れられた姿である慈航道人の乗騎。慈航道人と金毛犼は封神演義にも登場し、観音の前身であるということにしているからややこしい。朱紫国の皇后をさらって后にしようとしたが、彼女が着ていた衣に棘が生えて手が出せず、腹いせにほかの宮女たちを大勢攫った。性欲をもてあます。紫金鈴という三つで一揃いの鈴を持ち、武器とする。
太歳というのは木星のこと。基本的に大吉だが、方位によっては凶悪な神になる。賽太歳は「太歳にも劣らない」くらいの意味。

百眼魔王:
正体は大ムカデ。盤糸洞の蜘蛛精たちの兄貴分。脇の下に沢山の目があり、そこから怪光を発する。妹分たちともども毘藍婆菩薩のペットにされる。

毘藍婆菩薩:
前述の昴日星官(すばるぼし)の母親。正体は雌鳥であると示唆される。毘藍婆とは本来十羅刹女の一柱で、縁を結んだり切ったりする能力を持つ。鬼女であったものが、釈迦の教えを聞き仏法の守護者となった。雌鳥説と昴星の関連がどこから出てきたのかは不明。

獅駝嶺の一大王、二大王、三大王:
それぞれ文殊菩薩の乗騎である青毛の獅子、普賢菩薩の乗騎である白象、大鵬金翅鵰。この時北海竜王が呼び出されて三蔵の守護にあたる。三体はそれぞれ文殊、普賢、如来によって捕えられて連れ戻される。

小子城国丈:
正体は白鹿。二十八宿を統括する南極老人星の乗騎だったもの。比丘国の国王の岳父。国王を美貌の娘を使ってたぶらかし、子供の肝を集めていた。ちなみに娘は白狐の精。鹿のくせに生き胆を食うとか。

地湧夫人:
本性は金鼻白毛の鼠。別名「半截観音」(観音のはしくれ)。霊山で如来のお供え物を盗んだが、李天王とナタ太子にとりなされて許されたので、彼らを父兄として慕っている。妹属性ひゃっほう。三蔵と夫婦になる(というかおセックスする)ことで神仙にランクアップしようとした。法華経に釈迦が説法しているときに地から多くの菩薩が湧き出た(地涌)ことと、鼠がどこからともなく湧いてくるのをひっかけたネーミング?鼠は大黒天の使いというのは日本だけの話なので、大黒天は関係ない。

南山大王:
正体は艾葉花皮豹(ヨモギの葉と花模様の豹)。艾葉豹、つまり雪豹のこと。どっこいユキちゃんみたいな気品のある妖怪ではない。陰霧山の連環洞というところに住み、鉄の杵を武器にする。自分の偽物をおとりにして三蔵を攫ったが、悟空たちを諦めさせようと三蔵の首の偽物を渡したところ逆効果になってかえって怒らせてしまう。催眠虫で眠らされてそのまま八戒に殺される。

南山大王の先鋒:
正体は背黒胡狼、つまりジャッカル。かつて獅駝嶺にいて、そこが孫悟空一行によって崩壊した件を語る。三匹の部下を大王に化けさせて攪乱する分辨梅花の計なる作戦を提案した。偽物の三蔵の生首を作ったのもこいつ。如意棒で叩かれ正体をあらわし死亡。

九霊元聖:
正体は九頭の獅子(合体したのか首が9つあるのかは不明)。北極星こと太乙救苦天尊の乗騎。
七匹の獅子の妖怪たちを従えて、孫として可愛がっていた。太乙救苦天尊に一喝されてへなへなになり、そのまま連れて行かれた。残りの獅子たちは皆殺しにされ、国民全員で焼き肉パーティに。ライオンの肉ってどうなの。

辟寒大王、辟暑大王、辟塵大王:
正体はいずれも犀。青竜山に棲む。油が大好きで、慈雲寺という寺で仏のふりをして香油を貢がせていた。きっとデブ。ついでにお参りに来ていた三蔵を攫う。いずれもなかなか手ごわく、水性のものであるため属性が有利な四木禽星が召喚される。ポケモンで言えば「水タイプには草タイプだ」。さらに水中に逃げ込んだため、摩昂太子も参加する。一匹捕縛するが、頭に血がのぼった井宿が噛み殺してしまう。残った二匹もやっぱり頭に血がのぼった八戒に首を落とされ、角も切られてしまう。
犀の角は寒暑避けや塵避けに効くとされる。この大王たちのネーミングもそこから。昔ホンモノの犀を見たことがなかった中国人は、犀も牛や鹿の一種で角が二本あると考えていた。

四木禽星:
二十八宿のうち、木に属する星宿たち。前述の奎木狼、角木蛟(日本ではみずちと読むが水タイプではない。龍の一種。すぼし)、斗木獬(かいち。神獣の一種。一角を持ち、牛や羊に似る。ひきつぼし)、井木犴(野犬の一種。ちちりぼし)。星神ではあるが本性が獣なため、時々地が出るらしい。ちなみに草タイプこと木の色は青(緑)。
二十八宿は青龍朱雀白虎玄武、及び日月火水木金土に別れ、また様々な動物が割り当てられている。牛金牛(いなみぼし)なんてのもいる。

天竺国の偽公主:
正体は月兎。バニーガールひゃっほー!武器は薬を搗くための杵。自分の顔をはたいた月の天女に恨みを持ち、天女の転生先である公主を難に合わせるためすり替わった。正体を見破られると全裸になって悟空と空中ドッグファイトをするファンサービスっぷり。「後半でだれてきたからお色気でも入れるか」みたいな意図を感じるね。姮娥と太陰君に月に連れ戻された。
by Robin96 | 2012-04-09 10:15 | メモ
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